ブログ「みんなの価値を高めよう」

当社の基本理念は「みんなの価値を高めよう」なのですが、実は最初に思いついたのは「みんなで価値を高めよう」だったんです。どちらもお客様の役に立ちたいという想いから考えたのですが、この「みんなの価値を」と「みんなで価値を」では全然意味が変わってしまうんですよね。「みんなで」の場合、その後に会社とか世の中などの言葉が続くと思うんです。たとえば、「みんなで会社の価値を高めよう。その結果、みんなも恩恵が受けられるよ。」といった具合です。たしかにお客様企業の価値を高めるのが、私たちの仕事ですから、それでも良かったのかも知れません。しかし、どうにも違和感がありました。順序が逆なんじゃないかと思ったんです。

先に価値を上げるのは「会社」ではなく、「みんな」なのではないでしょうか。つまり、会社が従業員に何か期待するよりも先に、従業員の幸福を願うとでもいうのでしょうか。価値を高めるにはどうしたら良いのか、考えるのが良いと思うんです。というのにもいくつか理由がありまして。

まず、私たちの商売と事務職との関係です。自動化とかシステムといわれるやつは人件費の削減に大きく役に立ってしまいます。AI(人工知能)なんてものが導入されれば、無くなる仕事がたくさんあるとさえ言われています。会社の一般事務の方たちからみたら脅威ですよね。一方で、2019年1月の事務職の求人倍率(https://doda.jp/guide/kyujin_bairitsu/)を見てみると0.23と驚きの数字。つまり、仕事1つに4名応募がある現状で、さらに今後仕事が減っていくと予想されるわけです。とくに早めにご結婚されて、やっと子育てが一段落した主婦層の仕事選びはかなり困難だと思います。さらに、私も経験が長いせいか、様々な「クビ」を見てまいりました。非正規雇用の期限切れや自己都合退職を「クビ」と呼んではいけないのでしょうが、どうみても「クビ」だろっていうシチュエーション見たことありませんか。突然呼ばれて「お金は払うから」ってやつです。もしも、私たちの提供したサービスがきっかけになったとしたら正直、耐えられないくらい悲しくなります。

では、事務職の方たちが価値を高めて、より付加価値の高い仕事にシフトしていくことが、そんなに難しいことなんでしょうか。私はそうは思いません。ある程度コミュニケーション力があるという前提を頂ければ、できることはたくさんあります。業務改善や生産性の向上は原則、ヒアリングして、見える化して、意識を合わせて、実行するだけですし。自動化についても業務を書き出して、プログラムするだけですから。「簡単にいうなよ!」と思われるかもしれませんが、私の見解では原因は「できないという思い込み」と「教えてくれる人がいない」の2つだけです。つまり、能力の問題ではないのです。能力や経験によって左右されるのはスピードだけです。じっくりやれば誰でも、より付加価値の高い仕事ができるようになるんです。

あとは、経営者の方たちへの想いです。従業員を「クビ」にしても、従業員のせいにして八つ当たりしても、決して会社の価値が上がることはありません。私も生産性向上=企業価値向上であり、人件費の削減は必然であるという考え方を否定しようとは思いません。むしろ、私には30代のころ会社を倒産させた経験がありますから、信じて入社してくれた従業員の解雇、従業員のせいにした八つ当たりなんて何度もやってます。だけど、しばらくすると、すごく辛かったんです。この自己嫌悪感、きっとあじわったことありますよね。上手くいってる時は感じないんですけどね。だから、経営者の方たちには、そんな辛い思いをして欲しくないっていう想いもあるんです。従業員の方たちが、会社から受けた恩を返すという形で、企業価値を向上させることが最も理想、かつ自然なはずなんです。

私はお客様企業の生産性を向上させるプロセスや情報提供を通じて、そこで仕事をしている従業員の方たちの価値を高めていきたいと思っています。経営者の方たちには、お金にゆとりをつくってもらい、そのお金を従業員の方たちのキャリア支援や、より付加価値の高い仕事へチャレンジするための準備に使ってほしいと願っています。それらの想いや価値観を経営者の方たちと共有し、従業員の方たちに惜しみなくノウハウを伝え、一緒になって良い会社をつくっていくことが、私たちの進むべき道なのだと信じています。

理念って「えい、えい、オー」みたいな掛け声でいいと思うんですよね。だから当社は「みんなの価値を高めよう」にしました。キャッチーで叫びやすいし。いつか経営者の方、従業員の方たち、そのほかいろんな人たちに覚えてもらえたらいいなと思ってます。